十勝の牧場のはがき絵
 牧場の木造の建物、最も古いのは100年近く前のもの。ここで仕事をしている自分にとってはよく見慣れたもので、実に当たり前と思っていました。
 しかし、よくよく近づいて見てみると、さすがにここ厳寒の地十勝で長い年月を耐え忍んできた歴史が深く深く刻まれている稀有な存在なのだと気がつきました。
 この木造の建物をひとつひとつ丁寧に描いていくのを次なる自分の楽しみにしようと考えて描いています。

 牧場コンビニにようこそ・・・こんなイメージで盛り上げられたらなぁと夢想・・・
   
とりあえず絵はがきシリーズから手がけています。



飼料課作業庫
 夏も過ぎようとしているのに、やり残した最後の夏休みの宿題のように本日夏の色に衣替えした飼料課の作業庫。新たに描き起こすには、ががっーと夏の休みを取ってしっかり充電しないとできないような気がします。今のところ私の夏休みは9月の中旬に取る予定ですけど・・・。

 
 朝夕と種牛基地へ向かう際に、いつも私がこの横をチャリンコで通り抜ける飼料課の作業庫。
基本的には厩舎と同じ構造をしているのですが、家畜が入っていない分、傷みが少ない気がします。


第一飼料庫(大正3年、297u)
 
第一飼料庫にも春が訪れました。やっとのことで模様替え。カシワの木にも若葉が出でて、柔らかい緑が全体を包んでいます。
 
飼料課の数ある大きな建物の中でも私が好きなもの。朝日や夕日を浴びて実に様々な色合いを見せてくれます。

 種第二牧収(明治43)
 
 今 度は少し趣向を変えて、乾牧草を収納するいわゆる乾草舎。牧場にある乾草舎の中でもたぶんこれはかなり年季が入っているように見えました。馬用のスタック ベール(四角い乾草)が入っているはずが、機械体系の進歩とともに今やロールベールが入っています。それでも絵にしたくなる乾草舎・・・これも仕上がりま でにすごーく時間がかかってしまいました。ベールの色合いが麦かん(麦藁)のようでいまいち気に入らないのですが、もうリミット。

第九牝馬厩舎(大正2年、745u)
 今まで、使われていない厩舎の絵ばかり描いてきたが、先日、「建物だけで家畜は描かないの?」という素朴な疑問を頂いた。描く気になれば描けるのではと思いつつ、馬の絵はいまひとつ苦手意識があって・・・。
  やっと描く気になって描いてみたのが、この厩舎。現役です。わざとデフォルメしているのではなく、ほんとうに柱が朽ちて、建物自体が歪んで沈み込んでいる のです。カラマツの丸太で両側を支えているが、ほんとうに大丈夫?という感じです。馬は重種のペルシェロン系。六文銭のような小紋が目印であります



第一衛生室(昭和20年、350u)
 夏 から秋の間はびっしりと周囲に生い茂った白樺、小柏、椴松、ドロノキなどに覆い隠されていましたが、初冬の河原近くの林の奥にその建物は姿を現した。もう 使われていない牧場の中の廃屋ですが、ガラスも壊れずに残っています。中に入ると1985年12月のカレンダーが残っていました。そこから20年間ここの 時間は止まったままなのでした。


生活消費生協(牧場コンビニ明治43年)
 場員の日々の生活には必要不可欠な存在ながら、場内に居住する職員の減少や大型店舗との商品価格の格差などから売上高が大幅に下がって今や存亡の危機にあります。是非がんばってほしいとボランタリーにおみやげ用の絵はがき描きをはじめたのであります。


診療所(旧庁舎明治43年、121u)
      
 常駐の看護師さんと週2回通ってこられるお医者さんが、場員の健康管理をしています。西郷輝彦さんと栗原小巻さんの田舎医者の事件簿のロケーションにも使われた建物です。


第四種馬厩舎(大正2年、745u)

軍馬を生産する種馬所の時代から使われてきた雌馬の厩舎。今は老朽化して使われていませんが、この建物の存在感にはいつも圧倒されます。

第四種馬厩舎(大正2年、745u)その2
 上と同じ建物ですが、その建物の前に直立する枯死した柏の木。いまは役目を終えたもの同士ですが、その姿にはいつも目を奪われてしまいます。


第三種馬厩舎(大正2年、745u)
  
   
 雌馬厩舎の反対側には種馬用の厩舎があります。農用馬の時代は終わり、ばんえい競馬も大きな負債を抱える中牧場の種馬頭数も大幅に縮小されたため、単房の厩舎は使われなくなってしまいました。その存在だけがばん馬の重い歴史を伝えています。
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